【詩】廻廊
おお、私の背後にある虎よ、その眼は光を見ている、闇を見ている 未だ真新しい爪牙は使うことはないだろう それというのもこの私が、この私が、あまりに…… 詩はひとつだけでいい われわれははじめから何もかもを分っているのだ そして人間は何もかもを脆い言葉に直しては駄目にして修理していく作業の従事者…… われわれははじめから理想だったのだ われわれははじめから永遠だったのだ われわれは連関の中にあるのではない…… そう、私に詩はひとつだけでいい 私の詩は私のおわりのときにはじまる それは文字にはならぬ、文字ではないために 私は文字を書く、そうだ、それでも私は文字を書く ああ、私の虎が未来の終端に立ち出づるときの咆哮こそが詩になる われわれは、われわれは、漸近しようとしているのではない われわれこそが漸近者なのだ……