らうんどあばうと

ラウンドでアバウトでランデブー

【2020/5】副題:就活

基本的に毎月書くこともとくに無いのでこれからは副題を設定して少々それについても書くことにすることになるかもしれない。まあ多分僕はこのまま年を取り続けるだろうがだんだん社会と疎遠になっていくだろうと思う。それは仕方のないことだと思う。常識がわからなくなってくるだろう。そもそも何が原因なのかもわからないだろう。間違ってしまったとは思わない。社会はこちら側とあちら側に分けられるようにできていて、僕が単にこちら側というだけなのであるから。できると思っていたことができなくなってくる。

僕のような人間は当然就活と相性がわるい。僕はまず自己アピールができない。面接の場でも自分ができないことの方を強く出してしまうのだが、これがまず就活においてはよくない。それに僕はへらへらしている。これもよくない。やる気がない人間と見なされる。実際そうである。言いたくないことも多すぎる。変に隠すと面接全体の中で不整合になって面接官が違和感を持つようになる。まあたしかに僕が落とされるのは正当なことだと思うけどもね。就活を楽しそうにやる人間が一定数いるが、これも分らないことではない。ゲーム感覚でもあるし、内定が何個かもらえれば満たされるだろう。でも僕は邪魔なだけで楽しいものとは思わなかったな。エントリーシートを書くのは初めの頃は面倒だったけれどでも別に慣れてしまえば最初に書いたのを改変すればいいだけだったから、やはり一番邪魔だったのは面接と来年から僕も社会人になるのだという諦念。一次面接で落とされたときもあったけれど30分で何が分るんだという気持ちより、人事は僕のことよく見抜いたなあという感嘆の方が大きかった。就活なんてそれほど大したことじゃないと思ってたから落ちてもほとんど他人事のように思えた。大したことというのは理屈では分るけども、納得はしてなかった。緊張してないのは可愛げがないかなあと思ってわざと緊張しているような振りもしたけどそれが災いして落ちたこともあった。3月に内定が出そうなチャンスがあった。面接官は若手と中堅の二人だった。若手の方は喋らず、後学のためにいるようだった。中堅の社員の方はガタイがよく、おそらく学生時代はラグビーか何かをやっていそうな人だった。いるだけで存在感がありそうな人間で、僕の苦手な人間だったから見るなり気分が萎えてしまった。こいつは多分結婚していて、二人ぐらい娘がいそうだ、休日はまだ小学生に入ったばかりの長女と過ごすのだろう、水族館に行ったりして夕方は買い物して帰るのだろう、奥さんは女らしい見た目をしていて多分この人のガタイが気に入ったんだろうなどと面接中に考えてしまって面接自体は一問一答になった。就活で面白いもののひとつに逆質問というものがある。面接の最後にこちらから質問をする時間がとられるのが通例で、これは逆質問と呼ばれている。この時間も面接の一部で質問内容で意欲を見せることが必要らしい。そこで多くの就活性はおそらく全員似たような質問をするわけだが、それを思うと人事もいちいち丁寧に答えているのはすごいなあと感じる。例えば検索にかければすぐわかるような質問をする人間もいるわけだが、そう言わずにちゃんと答えるのはかなり精神力を要するものではないだろうか。もちろんそういったことを質問をすることが無意味だとは言わない。実際に会話の中で聞けば内容が同じだとしても感じ方は違うものだということは僕だって分っているつもりである。はじめからおわりまでずっと逆質問をしてくださいといった面接も意外とあるが、30分のうち15分過ぎたくらいで質問が思い浮かばなくなったことがあった。逆質問は関心を持っているかどうかを比較的見抜きやすい形式だと思うけれども、関心のなさが如実に出たものだった。就活はある意味で客観性を以て自分の人間性の一部を伝えられるものだと捉えることもでき、僕は少しおかしな人間で噛み合わない人間だということを教えられるのである。こういう僕は社会と疎遠になっていくだろう。