らうんどあばうと

ラウンドでアバウトでランデブー

【2019/4/20】

例えばカレーの具材は薄く切られていないと気に入らない。神経質だから。そういえばしばらくカレーを食べていない。僕はカレーは甘口しか作らない。なぜなら甘口が一番美味しいから。甘いほうが美味しいに決まっているから。甘口100パーセントが一番、甘口は甘すぎるし辛口は辛すぎるから甘口と中辛もしくは辛口を混ぜるような中途半端なことは最も許されない。このようにカレーのルウにはだいたい甘口、中辛、辛口の3種類がある。しかし中辛という名称は明らかにおかしい。甘口、辛口の中間であるはずならば甘辛味や甘くも辛くもない味などと呼ばれるべきだ。中辛、これでは甘口と辛口の中間ではなく、どちらかというと辛口よりの味ということになってしまうのだがこれは間違っていないだろうか。最大の辛さを100として味を3つに分類するならば、0、50、100のように分類されるべきで、甘口と中辛と辛口では0、75、100のような分類になっているように取れる。まあどうでもいいけれども、甘口しか食べないし。お店でカレー頼もうとするとそもそも甘口という選択肢が無い場合があるのもおかしい。何年か前、はじめてのお店、チェーンでない個人がやっているお店、で何と無しにカレーを頼んだらめちゃくちゃ辛いカレーが出てきた。こちらに辛さの選択権は無く、通常その場合であればオーソドックスに甘くも辛くもないカレーを出されるものと思ったが、出てきたのはわや辛いカレーだった。一口食べた瞬間、全部残して帰ろうかと逡巡した。しかしながら、カウンター席だったので目の前に店主がいたために申し訳なさから実行に移すことが出来ず、結局1時間以上かけて大きいスプーンの先っぽでスイーツでも食べるかのようにチビチビと掬いながら完食した。店主はあの時の僕をどう思っていたのだろうか、今でも考えたりする。カウンター席に居座ってカレーを延々と食べている男、明らかにおかしい。そう思っていたならば、残してもいいですよ、と声をかけてほしかった。本当に辛かったし、嫌な思い出だ。あのときのカレーの辛さには腹が立ったし腹が壊れた。だから僕は甘口しか食べてはいけない。辛口が王道みたいな顔しているのもイライラする。あと甘口より辛口のほうが種類が多いのもイライラする。実は市販の甘口もまだちょっと辛いからもっと甘いものを売ってほしい。そうなると甘口って表現もおかしい。甘くない。甘くないのに辛口に対して相対的に甘いから甘口と表現されているけれど、いや甘くないですよね甘口って。甘口すらも辛口基準なのがイライラする。カレーは甘いほうが良いんだって。カレーは細かく刻まれた具材に甘口、さらにヨーグルトなどの甘みをプラスするもの、これが一番だし、ほかのカレーは間違っている。具材は大きくてゴロゴロしていた方が良い、この価値観が全く分からない。大きいと食べにくい、そしてまた、純粋に邪魔。だから僕はカレーを作るときは玉葱などの野菜は数㎜幅で切りますよ。あのね、なんで具材はゴロゴロした方が好きという考え方が蔓延しているかというと、それは見た目が良いから、そして見た目が良いだけということに気付いていないからなんですね。例えばカレールウのパッケージを見てごらんなさい。カレーの写真がきっとあるでしょう。そしてその写真にはお肉のほかに大雑把に切られたジャガイモやニンジンがあるでしょう。パッケージの調理例がこうやって大きな具材で構成されているのは単に見栄えが良いから。ところが多くの人間はこれが正しいんだ、と思い込んでしまう。こうやって作ればいいんだ、これがカレーの最も標準的なものなんだ、そうやって思い込まされることでいつしか具材はゴロゴロしていた方が良いという考え方が染みつく。これはカレーだけじゃない。ほかの料理にだって言えることだ。そうやって商業的な価値観が無意識化で成長し、その結果として具材はゴロゴロしていた方が良いと思うようになる。ああ、悲しいかな。ほかにも具材が大きい場合の欠点を挙げることができる。まず、カレーはカレールウとご飯でセットである。ふたつでひとつである。カレーをぐりゃぐりゃ混ぜることは極端にしても、ルウとお米のある程度の融合は避けられないし、避けるべきではない。したがって、口に運ぶ際、スプーンにはルウ、お米のいずれかだけではなく両方が乗せられているべきである。だけれども、具材が大きいとどうなる、大きく切られた具材はそれ単体でないとスプーンに乗せられない。そうすると具材を食べるとき、そのとき食べているのはカレー、正式名称カレーライスではなく、カレールウの味が付いたジャガイモ、ニンジンということになってしまう。見た目に拘るとこのような結果も招く。まあどうでもいいけれども、僕が作るときは薄く切るし。もうどうでもいい。カレー作るの面倒だしどうでもいい。

今日も衰えただけ。ただ時計を眺めているだけで終わっていく一日。誇りなんて無いのにおかしなプライドだけはある。どれだけ無駄な時間か分かっているのに。期待して裏切られて、期待して裏切って……。起き上がり人形じゃあないんだよ、僕は。

死にたいけれど、そりゃ死にたいはずないだろう。でもやっぱり僕は死ななきゃいけない。

土曜日とかどうでもいい。

どうでもいいって言ってみても何も良くなりゃしない。