らうんどあばうと

ラウンドでアバウトでランデブー

【2019/1/10】

スーツを着て自分の会社を楽しそうに紹介している30代後半であろう人間を見る。僕がそうしている状況を想像する。できないありえない。僕がもしどこかで働いたならば、僕の中の、厄介なアレとしか言いようのないものがどこかのタイミングで暴れ回って、僕だけでなく他の人間にも迷惑をかけるのに違いないのだ。ならもう……。

電車、特に混雑していて乗客が寿司詰めになっているような電車に乗ると不思議な感覚に襲われる。ここにいる人間は確実に存在はしているが、彼らの人生と僕の人生が交差するのはこの電車に乗っている今だけだという人間が殆どなのだ。強いられているとはいえ、身体が触れ合うほどに近づいたのに目的の駅に着いて彼らが電車を降りてしまえば、僕たちの人生はもう二度と重なることはない……。しかし確かに存在している、この瞬間にだって彼らは呼吸をしているし、何かを考えて何らかの行為をしている。彼らにも昔はあったし、未来もある。彼らはここまで生きてきたからこそ、今生きている。ああ、なんだか頭がぐるぐるしてくる。彼らは何かに勝ったり負けたりしながらここまできて、これからも勝ったり負けたりしながら何かのために生き続ける……。そしてそれは彼らだけではなく、歴史上全ての人間に当てはまることで、もちろん僕だってそうなのだが、それでもこの人間の偉大さと言っても良い事実に打ちのめされそうになる。

ああそうなん、生まれも育ちも東京のええ所でコレもいっぱいあってどこでも行けるし何にでもなれるん、そりゃええなあ。そりゃええわ。