らうんどあばうと

ラウンドでアバウトでランデブー

レシピ

まず、空を用意します。次に雲を空に拡げます。 空と雲が同じくらいになるようにします。 雨雲はいけません。薄くたなびいているものにしましょう。 雲が流れていくうちに、夕陽で茜色になった空が見えます。 それが夜のはじまりの合図です。 薄暗くなってき…

【詩】Have fuan

(ファンファーレの音) (遠ざかるファンファーレの音) (ひと通りの静寂) ふぁんふぁん・・・ ふぁんふぁん・・・・・・不安を攪拌しつづけるファンの音 すみずみまで行き渡って換気は間に合わず ファンキーなリズムで次々に割れはじめる檻の窓 色づいた不安 …

【詩】夜の電車はがたんごとん、人生ぷかぷかいい気持ち

この快速電車に乗っている人はみな、どこか疲れているように見える。若い女も中年の会社員もおなじようにしどけなく俯いて座っている。僕にわかるのは疲れているという部分だけで、それぞれがなぜ疲れているかはわかりようがないところである。そして僕は、…

【詩】阿呆ども

こんにちは。こんにちはだと! こんにちは、とは一体どういう意味で言ったんだ? どういう考えを持ってそんなことを口にしたんだ? こんにちはになんの意義があるんだ? 例えば休日の昼過ぎに外に出てみたとしよう。どこかに出かけるために。そうすると隣の家の…

【詩】魚たち

日々の生活で 疲れた 魚たち 崩れた鱗が 海を輝かす

【詩】衰弱

僕はこういう場所にいる。外はいつでも人がいる、深夜であっても人はすぐに見つけられて、人がいない時間をつくらないために交替制をとっているかのようである。それに音がしない時間もない。話し声や、車の音、電車の音もある。規則に従って一定の間隔で発…

【詩】パン人間

俺はパン人間だ。そうじゃないと言う人間もいるだろうが俺はパン人間だ。俺が俺のことをパン人間だと決めたからパン人間なのか、それともそれより前から俺はパン人間なのかは知らない。俺はパン人間でほかの何でもないのだから、パン人間じゃない俺について…

【詩】海

ここで待っている。 だが何を待っているのだろう? 白い流木、欠けた貝殻。乾いた音を立てるものたち。 待つためには目を閉じなくてはならぬ。そのときが来ればそっと触れて教えてくれるはずだからである。 流美な言葉をただ重ねればよいのだろうか? 書くの…

【詩】トド

トド! とっととトド! トド! とっととトド! もしも明日トドになっていたら 台所に行くのもひと苦労なわけだ とどのつまりそういう可能性も考慮に入れる価値がある 私たちは滞りを許そうじゃないか

【詩】香水:銀色の空気

憶えてはないでしょうね。ずっと前のことで雨の日だったから憶えているはずないもの。からっと晴れて気持ちの良い日に起ったことしか憶えてないんだから、いつも……。大人になってしまうと不思議なものね。そうよ、おかしなものよ、大人になるってことは。幼…

【詩】ある男

生活の中の捨て置かれた時間で、様様な事物の途中にある合間で、僕はこうして始めることをします僕はこれを悲しむべき悲しいことだとは思います生活は僕の体力を挘り取って始めるのに要するものさえ残しませんまた始めたところでそれも詰り僕の不安を込合い…

【詩】廻廊

おお、私の背後にある虎よ、その眼は光を見ている、闇を見ている 未だ真新しい爪牙は使うことはないだろう それというのもこの私が、この私が、あまりに…… 詩はひとつだけでいい われわれははじめから何もかもを分っているのだ そして人間は何もかもを脆い言…

【詩】アムネジア

遠目に映した君のマンドリン屈折した街の光が揺れる 揺れる月が定めた夜なんですもう会えないなんて わざとらしく君のかかとみたいに氷った気持ち どうか名付けて 記憶の一粒だろうと拾い上げてつくった砂時計全然眠れないんです 知らないでしょう君の街に雪…

【詩】夜空はおっぱい

屋上で見上げたアンドロメダに憧れていた ペガススに乗れば夕光のはじまりも見えるかもなんて 寒い部屋で地球を想う夜ももう終わりで 付け焼刃のロケットで明け方を撫でていた 無感動じゃないもの震わせて月に追いついた 誘われるように流線形に不時着して …

【詩】かさのさき

かさのさき つんつんつん つかたんたん かつかつかっかっかっ おどりながら つなぎあう かさのとげ つんつんつん 小さなかさ すごく似あってる ささりそうで知らないふり いろんないろだけど わすれるのはひとつ まもりきれない ざざだんばん ツノになって …

【詩】夏の夕暮れ

あれっきりの昨日に笑われろ これっきりの今日を笑いあえ あれあれ言ってるうちに過ぎてく明日にさちあれ

【詩】知らん

分からん分からん もう分からん 知らんもう知らん なんも知らん いい いい もうどうでもいい 喋らんのならずっと黙っとけ 情けはかけずに全部燃やせ ああ分からん! 星座なぞ分からん 明日のことが分かってどうする ため息で育て上げた雲に乗れ! 価値の無い…

【詩】今日はこんな日で明日はどんな日

夕焼け世界を映す空 鏡のよう 鏡のよう 渡り雲とどこへゆくのやら 黄蝶は悩ましい風にそよぎ 雀は土を跳ね飛ぶ 物語の隅で古ぼける物語も 埃のように積もる時間も 御守すてちゃおうかな 叶うといいよね ああ ずっと憶えてるんだろうな こんな日をずっと

【詩】気になる

隣に座った人の名前が気になる すれ違った優しそうな人の声が気になる ずっと前を歩く後ろだけの人の顔が気になる うまくやれない気になる 宇宙の向こうが気になる いつまで憶えていられるか気になる あとどれくらいか気になる うまくやれなくてもいい気にな…

【詩】いっしゅうかん

きょうはどようび はれたどようび きょうはどようび うれしいひざし くものむこう みてみたい 今日は月曜日 晴れても曇り 今日は月曜日 厳しい日差し 靴の爪先 擦り減らす はれたひ 曇った日 繰り返す こんな気持ちも 繰り返す 鏡だらけの世界で 自分を騙す…

【詩】エンジン

夢みたいな気分だな 信じられないな 明日になれば頭を抱えるの 分かっているけど 今だけは 今だけは 道路の音に目を瞑るうちに 夜になる 僕

【詩】スーベニア

行きなのか帰りなのか ひとり佇んで前向ける この風は春風で 揺れる緑は音もなく 傷つけて 奪って 裏切って 嘘ついて 分からないあれこれや 分かり合えないだれかれや 忘れながら生きているよ 夕焼け空にひこうき雲 殺した記憶は影になって 踏まないように気…

【詩】さんぽ道

私はいつも へろりへろり 私はいつも ひとりひとり けやき並木 がさりがさり あの日とあの人 くらりくらり 頭のなかで となりとなり あなた笑って もらいわらい いつのまにか 振り出しだ いつのまにか 降り出した 私のこころ ころりころり 私のあかし おろり…

【詩】今日死ななきゃ

今日死ななきゃ いつ死ぬのだろう 空は晴れ渡り 世界は青に包まれている 春の香りに包まれて 鳥は歌い子供は笑っている 足取りは軽く どこまでもゆける 背に陽の光を受け 私は微笑む 悲しみなんて全部忘れた 涙を流した日なんて無かった こんな日に死なない…